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ひとつ叶うの猫

新潟の港のほとりに、ひっそりと佇む小さな社がありました。
人々の願いは声にならずとも、ふとその場所に集まり、風に溶けていく──
そんな静かな社です。
ある晩、灯籠の淡い光のそばに、三毛の猫がひとつ、じっと座っていました。
白・黒・茶の毛並みは夜の色に溶け、柔らかな影だけを残していました。
その猫は、誰にも媚びず、誰にも無闇に近づくことはありません。
ただ、心がそっとほどけた人のそばにだけ、静かに寄り添っていたといいます。
あるとき、深い孤独を抱えた芸妓が、その猫の隣に腰をおろしました。
声はなくとも、胸の奥の痛みは、なぜか猫にすうっと伝わっていきました。
いくつかの夜を越えたころ、芸妓は夢を見ます。
三毛猫がこちらを見つめ、ゆっくりと口を開きました。
「ひとつだけ、叶えたい願いを私にください。」
芸妓は胸のいちばん深いところにあった願いを、そっとその猫に預けました。
季節がめぐり、願いはかたちを帯び、やがて現実となりました。
人々はいつしか、その猫を「ひとつ叶うの猫」と呼ぶようになりました。

ほんとうに大切な願いは、心が静まったとき、たったひとつだけ残るものです。
このお守りは、その「ひとつ」を抱きしめるためにそっと寄り添います。
願いが叶ったときには、どうか感謝をひと呼吸。
そして、また新しい願いが生まれたなら──そのときは、どうぞもうひとつの猫をあなたのそばに迎えてください。

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